第22回研究集会の開催のご案内(2019年6月1日)

 2018年度研究推進の一環として、第22回研究集会を、2019年6月1日(土)、愛知県産業労働センターウィンクあいちにて開催することとなりましたので、ご案内申し上げます。会の詳細は以下の通りです。みなさまのご参集をお待ちしております。なお、第22回研究集会は、常任理事会で検討した結果、台風の接近に伴い日本教育方法学会第54回大会第2日目に中止となった課題研究Ⅳを行うことが決定したため二部会で編成されています。

  本研究集会は公開で開催いたしますので、会員以外でも関心をお持ちの方に広くお声がけください。本研究集会への参加は無料です。事前予約も必要ございません。ふるってのご参加をお待ち申し上げております。

案内チラシ:第22回研究集会案内チラシ

日本教育方法学会第22回研究集会

日時:2019年6月1日(土) 10:00~16:00(受付:9:30~)

①10:00~13:00
今なぜ「見方・考え方」なのか―教育内容・教科内容の再構築―
②14:00~16:00
防災教育の内容と方法

場所:愛知県産業労働センター ウィンクあいち(部屋番号 1103)

①今なぜ「見方・考え方」なのか-教育内容・教科内容の再構築-

 来(2020)年度から実施される新学習指導要領において、各教科・領域等に関する「見方・ 考え方」が提示されました。「見方・考え方」という用語はこれまでにもいろいろな分野で用いられてきましたが、今回の「見方・考え方」とはどのように異なるものでしょうか。この「見方・ 考え方」は、これから学校現場で取り扱う教育内容・教科内容に大きな影響を与えるものとなり ます。新学習指導要領の全面実施に向けた移行期間のなか、この「見方・考え方」をどのようにとらえ、これからの教育実践を見据えて、それにどのように対峙していくのか、理論的にも実践的にも重要な課題です。
今回の研究会では、この「見方・考え方」について、教科教育の立場から、また総合学習の立場から、そして教育課程論の視点から深く検討してみたいと考えました。多くの会員の皆さまの参加を期待しております。

司会者:田上哲(九州大学)・ 藤江康彦(東京大学)

提案者:
石井英真(京都大学)
「見方・考え方」概念がカリキュラム開発に提起するもの
―教科の本質と能力の汎用性とをつなぐ論理―
金馬国晴(横浜国立大学)
教育課程全体における総合(的な)学習(の時間)の位置づけから
「見方・考え方」を考える
渡部竜也(東京学芸大学)
「民主的で平和的な国家・社会の形成者」を育成するのに
必要な見方・考え方とは何か本当に考えたことがありますか?
―学問絶対主義の貧困―

防災教育の内容と方法

 これまで学校における安全教育の内容は、生活安全、交通安全、災害安全に関する内容として取り扱われてきた(文部科学省『「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育』(2010年)。ところが、東日本大震災以降、なかでも災害安全に関する安全教育、すなわち防災教育に対する重要性が特に認識されてきている。今回の学習指導要領の改訂においても、主な改善事項の一つとして、防災・安全教育の充実が挙げられている。
このような動向において、今日の日本の防災教育は、「命を守る防災教育」として行われていると思われる。例えば、文部科学省の『「生きる力」を育む防災教育の展開』(2013年3月)では、防災教育のねらいを「災害に適切に対応する能力の基礎を培う」としている。これに対して、より広く、環境教育、持続可能性の教育、人間教育の一環として防災教育をとらえる立場もある。たとえば、ショウ・ラジブらの『防災教育―学校・家庭・地域をつなぐ世界の事例―』(明石書店、2013年)は、防災教育の進むべき方向として、学校と家庭、地域社会と家庭、複数の学問分野、複数の関係者、自然と人間、過去と未来が「つながる」ことに求めており、防災教育の根底にあるのは環境教育であると述べている。前者も、防災訓練を行いながら、人間としての在り方生き方を問い、家庭、地域との連携、各教科等における防災学習を行っている。後者も、防災訓練を否定しているわけではない。その意味では、この違いは力点の差かもしれない。
日本教育方法学会の『東日本大震災からの復興と教育方法―防災教育と原発問題―』(図書文化、2012年)は、原発問題も含めて防災教育を取り扱っている。この書物の中では、「日本列島に生きるものとしての客観的認識としての自然・社会・生活認識」「認識と行動の統一した教養としての防災教育」、「教育課程の中心に震災・復興の問題を位置付けること」が提言され、「稲むらの火」の濱口梧陵の「百年の安堵を図る」という言葉の重みが指摘されている。
本研究集会では、「釜石の奇跡」と呼ばれる釜石市の防災教育とその後の岩手県の防災教育の取組、「稲むらの火」を背景に持つ和歌山県の防災教育の取組、環境問題の一環としての防災教育の取組にもとづいて、防災教育の内容と方法について検討してみたい。

司会者:中野和光(美作大学)・ 田代高章(岩手大学)

提案者:
森本晋也(文部科学省総合教育政策局 安全教育調査官)
震災を生き抜いた子どもたちに学ぶこれからの防災教育
―釜石市の防災教育と岩手県の復興教育の取組から―
梶本久子(和歌山市立楠見小学校)
ふるさとに学び、ふるさとを愛する防災学習
竹内裕希子(熊本大学大学院先端科学研究部)
熊本における防災教育の事例